激変とノスタルジー 4年ぶりパリ?モーターショーで見た新たなかたち

第89回パリ?モーターショーが10月17日から7日間にわたり、市內ポルト?ド?ヴェルサイユ博覧會場で開催された。異例づくしで、開催前には地元ファンからブーイングが聞かれた今回。しかし実際に現地に降り立ってみると、異なる視點に立つことができた。
ブランドの國籍不問の時代に
隔年開催のパリ?ショーが最後に開催されたのは、2018年のことだった。2020年は新型コロナウイルス流行で開催を斷念。ゆえに4年ぶりだ。國際的なモーターショーの縮小傾向に伴い規模が縮小された前回に増してスケールは小さくなり、パビリオン數はついに3館となった。會期もほぼ半分の7日間に縮められた。
大きなブースを構えた歐州の乗用車メーカーは、グループ?ルノー(ルノー、ダチア、アルピーヌ、カーシェア事業のモビライズ)、ステランティス?グループ(プジョー、ジープ)にとどまった。それも従來と比較すると、ブース面積も設営も簡素となった。他の歐州、日本そして韓國ブランドなどは、軒並み大規模な出展を見送った。
一方、バッテリーEV(BEV)で歐州進出を高らかに宣言したのは、中國ブランドであった。

いち早く出展を名乗り出ていた中國「BYD」は3モデルを公開。筆者が同社歐州法人のフランス地域マネジャー、イゴール?マコヴェツキ氏に「中國車につきまとう既成概念を刷新できるのか?」と質問すると、「既成概念とは何かはわからない。だが、EURO NCAP(歐州衝突安全性試験)で五つ星評価を獲得した、というのがその答えになる」と自信をみせた。
また、同じ歐州法人でゼネラルマネジャーを務めるマイケル?シュー氏は記者會見の席上、シェルと提攜を明らかにした。充電ネットワークの確保も、中國メーカーによる歐州進出の本気度を示している。
2018年のパリでワールドデビューを果たしたベトナムの「ヴィンファスト」も、BEVのラインナップで歐州進出を明らかにした。こちらはイタリア「ピニンファリーナ」「トリノデザイン」によるデザインも売りにする。

ブランドの國籍を問わない世代が、歐州では爆発的に増えている。それは、同じく中國?吉利系の「リンク&コー」や、上海汽車系の「MG」が2022年に急速に歐州で販売臺數を伸ばしていることからも窺える。アパレルのマーケットで「SHEIN」が歐州の若者の間でほとんど中國資本と意識されないまま知名度を上げていることを考えれば、將來自動車の無國籍志向も加速するであろう。
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