飼い犬と過ごせるグループホーム、あふれる笑顔「にぎやか大家族」
伊藤誠
「ペロ、こんなところにいたの!」。高齢の女性が雌のダックスフントに語りかける。本當は、この犬の名は「チョコ」だ。
名が違おうが、女性も犬もお構いなし。女性はチョコを抱っこして笑顔を浮かべる。
ここは認知癥の高齢者らが過ごすグループホーム。ちょっとめずらしいのは入居者や施設スタッフの犬が同居している點だ。
細心の注意を払いつつも、入居者にもスタッフにもメリットがあるという。冒頭の女性はもともと帰宅願望が強く表情も乏しかったが、自身が以前飼っていた犬とチョコを重ねたのか、笑顔が増えた。
そんな少し変わった楽しいグループホーム「さくら」(奈良県生駒市)の日常を見せてもらった。
「にぎやか大家族」を掲げるさくらは、閑靜な新興住宅地の一畫にあり、70代~90代の認知癥の高齢者18人(うち男性2人)、犬8匹が施設內で一緒に暮らす。このうち4匹はスタッフの飼い犬だ。1階と2階に9人ずつ入居し、犬たちは階段を上り下りして入居者を癒やしに回る。寢るときも一緒だ。
散歩の時間は朝夕の2回。記者が同行したある日の夕方は、入居者2人とスタッフ6人が、リードをつけた犬7匹とともに近くの公園などを巡った。犬の方が入居者より多い。
80代の女性入居者は車いす…