漁師メシ?どぶ汁が不遇の深海魚を救った 冬の味覚アンコウを追って

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久保田一道
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 「そろそろ、時期ですかね」。木枯らしが吹くころになると、水戸に住む記者のスマートフォンに東京の友人からちらほらとメッセージが屆く。

 目當てはアンコウだ。

 福島から茨城沖でとれる「常磐(じょうばん)もの」。寒流と暖流が交わり、魚のエサとなるプランクトンが多く発生する。その栄養をたっぷりと肝や身に蓄えている。

 ひと冬に一度でいいから味わいたい。そんな思いに駆られる魚の魅力を探ろうと、港へ向かった。

 茨城県日立市の久慈漁港。午後3時になると、底引き網漁船が帰港した。次々と水揚げされ、魚が並べられていく。イカ、ボタンエビ、メヒカリ……。中でもひときわ大きいのがアンコウだ。うろこがなく、表面にぬめりがあるのが見た目にもよくわかる。

 久慈町漁業協同組合の斎藤透販売課長(46)が「アンコウは通年とれますが、冬場は産卵期を前にして肝が大きくなる時期です」と教えてくれた。漁船は未明に沖合に出て、水深200メートル前後の場所に網をかけて引っ張る。アンコウは深海でじっとしつつ、目の前を魚が通るとぱくっと丸のみするのだという。

 少し獰猛(どうもう)なこの深海魚は、いつから人気食材になったのだろう。

 江戸初期の料理本「料理物語…

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