軍事物資から生まれたポン酢 ちゃんこ屋が裏メニューで殘す幻の味

有料記事

[PR]

 亡くなった放駒元理事長(元大関魁傑)は、梅雨時のイワシのチリ鍋が好物だった。アジと見間違うほどの立派なイワシ。これをポン酢で食べるのだが、ポン酢の入った茶わんを手に、放駒さんが、「昔は薬局で買ったんだよ」と懐かしそうに語ったことがある。

 薬屋で茶わんを買った?――のではなく、かつて相撲部屋では、薬局で買った薬で、ポン酢のようなものを作っていたのだ。

 酒石酸(しゅせきさん)という。ワインを仕込んだ樽(たる)に付著する結晶で、強い酸味がある。ブドウ酒の樽にできるから「酒石酸」。酸味料のほか、ソナー(水中聴音機)の材料にもなり、戦時中は軍事物資としても生産された。

 これをしょうゆに溶かし、ダシで割り、香り付けにかんきつ類を搾ると、まるでポン酢に早変わり、というわけだ。體を作らなければならない力士が鍋をもりもり食べられるよう、酸っぱい味を求めたのが始まりらしい?!杆a品」といっても、食品添加物として認められている。

今では幻の味?

 ただ、あちこちの親方に聞い…

この記事は有料記事です。殘り502文字有料會員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません。